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- route→(ルート) 代表 村岡 麗菜さん インタビュー詳細
route→(ルート)
代表
村岡 麗菜さん
行政・団体
遺族だからこそ泣いているだけではダメだと
京都府亀岡市で集団登校中の児童たちの列に無免許運転の車が突っ込み、3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故の遺族である 村岡 麗菜 さんに お話しを聞いた。
村岡さんは事故で亡くなった 松村 幸姫 さん(当時26歳)のいとこにあたる。近所同士だった幸姫さんとは毎週のように遊んでおり、憧れのお姉さんだったという。
突然の事故、10年近くの月日がたった今でも「信じられない、現実味がない」と語る村岡さんは事故を通しての思いを形にしていくために今年(令和3年)、「route→」を設立。
自分の順番が来た、と思いました
突然遺族と呼ばれるようになって、とにかく実感がわきませんでした。でも交通事故なので相手の事を憎むこともできないけど頭から離れない…という葛藤もありました。遊ぶ余裕もなく、周りの方にも気を使わせて大変申し訳なかったなと思っています。
でも自分の年齢が幸姫さんと同じになったときに 自分は死ぬまで遺族なんだ と思い、ガムシャラにとにかくやってみよう、事故を起こさないために自分が出来ることを考えて発信していこうと決めました。
いとこという立場のため中傷などがあったりもしましたが、自分はこの立場だからこそより冷静に事故を見ることができ、第1当事者ではない第2当事者の様な目線で幸姫さんの家族の思いや考え、そして自分のできることを発信していけると思っています。
これから運転する世代にも漠然と「事故はダメなんだよ」と言うだけではなく根本から「起こってはならないこと」であることを伝えたい。そのためには自分が出来ることは何でも積極的にやりたいと思っています。route→もその一環です。
運転をすると言う事は被害者になることはもちろん、加害者にもなりうるものです。そのことを広く伝えるためには家で一人で泣いているよりも、前に出て話す方が意味があると思って、自分なんかがおこがましいですがそうすることで少しでも事故が無くなる要因になるのなら…という思いで活動させていただいています。
守りたい人、間に合う命はたくさんあります
意識改革ができたら、と思っています。
人の死因の中から「事故死」というものを無くしたいと思っていてそのために自分なんかが何が出来るのか、とは思いますが、でも遺族という立場はずっと変わらないから自分ができることはなんでもやっていきたいと思っています。被害者にも加害者にもなりたい人はいないと思います。
でも事実交通事故は今日も明日も100%起きていて… それをなんとかしたい。知識もないし、専門家でもなんでもないただの素人だけど、自分の立場を発信することで一件でも交通事故を未然に防げるきっかけになってくれたらと思っています。
今回のインタビューで村岡さんはしきりに「素人の私が~」「おこがましいことだけど~」と話していた。
専門的な内容、具体的な方法を話す必要よりも「遺族だからこそ」そのリアルな感じたままの言葉を発信し続けることに意味があると我々は強く思う。
交通事故を減らす、無くすという目標は果てしないものである。自身の活動の効果により世の中の事故が減ったのか、起きなかったのかを知ることはできない。遺族の方の中には活動をしてもその意味に疑問を持ち、活動自体をやめてしまう方もいると聞く。
しかしそれでも事故と向き合い、この活動を続けていく、一生付き合っていくという村岡さんの覚悟は並大抵のものではないと感じた。村岡さんの思いを受け取ったことで、起こるかもしれなかった事故を未然に防ぐ事が出来た事例が沢山あるはずだ。
「事故死という死因を世の中から無くしたい」と語る村岡さんの言葉は日々人々の心を動かし続けている。